久しぶりの人に連絡する、いちばん角の立たない口実

送ろうと思ってから、3週間が経っている。1年が経っている。 時間が経つほど送りにくくなり、送りにくいからさらに時間が経つ。

送りにくさの正体は、用件が無いことではありません。 「なぜ今なのか」を自分で説明できないことです。

相手は、空いた年数を気にしていない

送る側は「3年も放っておいた」と思っています。 受け取る側は、たいていその3年を数えていません。数えているのは送る側だけです。

やりがちなのは、そこを埋めようとして冒頭を言い訳で始めてしまうことです。

ご無沙汰しております。長らく連絡もせず大変失礼いたしました。その節は……

これを読んだ相手は、まず「失礼」への返事を考えることになります。 用が無いという事実が、文面のいちばん上に来てしまうのです。

効く口実は、だいたい5つ

「なぜ今なのか」は、作らなくても、たいてい相手の側にあります。

口実
前に聞いた話の続き 「新工場、そろそろ動き始めたころでしょうか」
相手の節目 創業、入社、独立、周年。「10周年と拝見しました」
自分の変化の報告 転職・独立・引っ越し。相手に返事の負担が少ない
第三者から名前が出た 「先日◯◯さんとお会いしたら、お名前が出まして」
季節 年始・お盆・年度替わり。弱いが、誰にでも使える

上ほど強く、下ほど弱い。強い口実ほど「あなたに送っている」感じが出て、 弱い口実ほど一斉送信に見えます。

いちばん上の**「前に聞いた話の続き」が最強なのは、 それが相手が自分から話したこと**だからです。触れても失礼にならず、返事もしやすい。

そのまま送れる形

長い文章は要りません。3行で足ります。

田中さん、ご無沙汰しております。石田です。 昨年うかがっていた新工場、そろそろ稼働のころかと思い出しまして。 ご盛況でしたら何よりです。落ち着かれたころに、また近況をうかがえたらうれしいです。

構造はこうなっています。

1行目   名乗る(相手に思い出させる手間をかけない)
2行目   なぜ今か(相手が前に言ったこと)
3行目   返事のしかたを軽くする(返信不要でも成立する形)

送ってはいけない切り出し方

やりがち どうなるか
「お久しぶりです!」だけ 相手が話題を考える側になる。返信率がいちばん低い
長い謝罪から入る 用が無いことが強調される
近況報告のあと、すぐ提案 **営業の前置きだったと伝わる。**関係はここで終わる
一斉送信と分かる文面 「〇〇様」の置換が透けると、送らないほうがましになる

営業の話があるなら、最初から用件として送る。そのほうが角が立ちません。 久しぶりの連絡を助走に使わないこと、これだけは守る価値があります。

難しいのは、口実ではなく在庫

ここまで読んで分かるとおり、文面は難しくありません。 難しいのは、「あの人が前に何を言っていたか」が手元に無いことです。

  • 新工場の話をしていたのは、誰だったか
  • 独立すると言っていた人が、いたはずだが思い出せない
  • そもそも、最後に連絡したのがいつなのか分からない

口実は在庫です。在庫が無ければ、季節の挨拶しか送れません。

「ご無沙汰の人」は、探すのではなく出てくるもの

思い出したときに送る、という運用では続きません。 思い出すのはたいてい移動中で、そのときには文面を書けないからです。

続くのは逆の形です。しばらく連絡していない人のほうから、目の前に出てくる。 そのとき、前に何を話したかが一緒に並んでいれば、口実を探す時間はゼロになります。

送りにくさは、放置した年数ではなく、材料が無いことから来ています。 材料さえあれば、3行で済みます。

よくある質問

何年も連絡していない相手に、いまさら送っても大丈夫ですか?

大丈夫です。相手が気にするのは空いた年数ではなく、送られてきた内容です。前に聞いた話の続きから入れば、5年空いていても不自然にはなりません。逆に、年数への言い訳から始めると、そこが話題の中心になってしまいます。

用件が無いのに連絡してもいいですか?

かまいません。ただし「用が無い」まま送ると相手が返しづらいので、相手が返せる形にします。質問を1つだけ入れるか、報告だけで返信不要と書き添えるか、どちらかにしてください。

連絡したあと、営業の話に持っていっていいですか?

同じ連絡の中では避けてください。久しぶりの連絡が営業の前置きだったと分かると、その一度で関係が終わります。用件があるなら、最初から用件として送るほうが誠実で、結果も良くなります。

「前なに話したっけ」を、なくす。

会ったあと話すだけで、覚えておくことと約束に自動で分かれます。次に会う前に、1画面で戻ってきます。