人脈管理アプリの選び方 — 続くものと、3日でやめるものの差
「人脈管理アプリ おすすめ」で検索して、10個並んだ記事を読んで、ひとつ入れて、3日でやめる。 これを何度か繰り返した人は多いはずです。
**製品名を比べても選べません。**続くかどうかは、機能の数では決まらないからです。
ここでは個別の製品名を挙げて比べません。料金も機能も毎年変わるので、 古い比較表は、そのまま嘘になるからです。代わりに、変わらない軸のほうを書きます。
まず、道具は5種類しかない
| 種類 | 向いている場面 | 限界 |
|---|---|---|
| 名刺アプリ | もらった名刺を溜める。会社名で探す | 名刺に書いてあること以上は入らない。話した中身が残らない |
| メモアプリ | 思いついたことを書く | 人ごとにまとまらない。会う直前に探せない |
| 表計算 | 自分で列を決められる | 100人を超えると開かなくなる。スマホで見づらい |
| 営業向け CRM | 案件と金額を追う | 入力量が多い。人を数字として扱う画面になる |
| 個人向けの記録アプリ | 会う人を思い出す | 数が少ない。日本語のものはさらに少ない |
自分がどれを探しているのかが決まっていないまま「おすすめ10選」を読むと、 種類の違うものが並んで、選べなくなります。
軸1 — 記録に何秒かかるか
続くかどうかは、ほぼここで決まります。
会ったあとに整った文章を書く形だと、3回目でやめます。 理想は10秒、長くても30秒。移動中に片手で終わることです。
- 項目が5つ以上あって、全部埋めないと保存できない → 続きません
- 分類やタグを先に選ばせる → 選ぶ時間が惜しくて開かなくなります
- 話したことをそのまま流し込めて、あとから直せる → 続きます
書く量を減らせない道具は、機能がいくらあっても使われません。
軸2 — 「思い出す面」があるか
記録できることと、思い出せることは別です。ここを見落とすと、 書いたのに使えないという状態になります。
会う直前の3分に必要なのは、検索窓ではありません。
その人の名前を開いたら、
前回いつ・どこで会ったか
まだ返していない約束
苦手なもの
家族・趣味
が1画面に並んでいること
検索して、スクロールして、過去のメモを読み返す形だと、 **直前の3分には間に合いません。**間に合わないものは、そのうち開かれなくなります。
軸3 — 誰に預けることになるか
ここに入るのは、自分の情報ではありません。本人の同意なく書いた、第三者の情報です。 だから預け先の条件は、ふつうのアプリより厳しく見る必要があります。
| 確認すること | なぜ |
|---|---|
| 他の利用者と共有される仕組みが無いか | 「つながり」を売りにする作りだと、書いた内容が相手に届く可能性がある |
| 音声を扱うなら、音声そのものを送るのか | 会話の録音を預けるのは、テキストを預けるのとまったく重さが違う |
| 退会したときに消えるか | 消えない前提のサービスに、他人の情報は入れないほうがよい |
| 広告に使われないか | 無料のものは、代わりに何かを取っていることがある |
軸4 — 持ち出せるか
3年後にそのサービスが無くなる可能性は、常にあります。 書き出せない道具に、3年ぶんの記録を入れてはいけません。
見るのは1点だけです。全部の記録を、自分の操作で書き出せるか。 JSON でも CSV でもかまいません。書き出しが有料プラン限定になっていないかも確認してください。
軸5 — 値段は、いちばん最後でいい
月に数百円から千円台の差は、続く道具なら誤差です。 続かない道具は、無料でも損をします(入れた時間が返ってこないため)。
順番としては、①10秒で書けるか ②会う前に1画面で戻ってくるか ③預けて平気か ④持ち出せるか、 を見て、残ったものの中から値段で選ぶ。この順番を逆にすると、また3日でやめることになります。
選ぶ前に、1回だけ試すこと
インストールしたその日に、直近で会った3人ぶんを入れてみてください。 入れ終わるまでに5分以上かかったら、その道具は続きません。
そして翌週、実際に誰かと会う直前に開いてみる。 3分前に開いて役に立たなければ、機能がいくつあっても関係ないのです。
よくある質問
表計算やメモアプリではだめですか?
人数が少ないうちは十分です。100人を超えたあたりから、探すのに時間がかかりはじめ、会う直前の数分では開かなくなります。開かなくなった時点で、書いてあるかどうかは関係なくなります。
営業向けの CRM を個人で使うのはどうですか?
使えますが、たいてい続きません。案件と売上を管理する形になっているため、金額や確度を入れないと画面が埋まらず、入力の量が個人の用途に対して多すぎます。相手を数字として扱う画面を、雑談のために開き続けるのも難しいところです。
他人の情報をアプリに入れるのは問題ありませんか?
個人の手控えの範囲であれば通常は問題ありません。ただし本人の同意なく書いた第三者の情報であることに変わりはないので、他人と共有しないこと、退会時に消えること、書いた内容を書き出せることの3つは、選ぶ前に確認しておいてください。